えごまって?ごまとの違いをごまのプロが教えます。
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えごまとごまの違い
えごまとごまは名前がとても似ていますが、一緒の植物? それとも似ている植物でしょうか?
正解は、「全く別の植物」です。
えごまはシソ科の植物で、ごまはゴマ科の植物です。
少し難しい話ですが、「科」が違いますね。
科が同じ植物、例えばえごまと同じシソ科のラベンダーは、えごまと親戚の様なものです。
科が違うごまは、全く別の植物ということですね。
えごまは、東南アジア原産の一年草です。
高さは30~90㎝になり、見た目は青しそ(大葉)によく似た植物です。
葉は卵円形で、夏から秋に白い花が咲きます。
別名「ジュウネン」とも呼ばれています。
えごまを食べると10年長生きするとの言い伝えからです。
えごまの葉は韓国料理の流行による影響で、スーパーでも見かける様になりました。
韓国では、えごまの葉を食べる文化があり、えごまの葉のキムチ漬けも食べられています。
えごまは、ごまが日本に入る以前の栽培植物で、食用・灯油の油として利用されていました。
しかし、縄文晩期頃から、ごま栽培が始まる様になると、えごま油はもっぱら灯油や加工用(番傘、提灯、油紙など)に使用されるようになりました。江戸時代以降、えごま油は他の油に押されて、栽培は衰退しました。
一方、ごまの原産地はアフリカと言われています。
高さは80~200㎝近く成長し、かわいい花が咲きます。
花は筒状で先がラッパのように広がっており、花の色は白、ピンク、紫などがあります。
(参考資料)
・「日本語大辞典」講談社 梅棹忠夫・金田一春彦・阪倉篤義・日野原重明 監修
・農林水産省HP エゴマ油が身体によいというので購入してみましたが、エゴマとはどのようなものですか。:農林水産省 (maff.go.jp)
・ジェトロHP えごま | 日本産食材ピックアップ - 農林水産物・食品の輸出支援ポータル - ジェトロ (jetro.go.jp)
・「元気が出るえごま料理」 田中 敦子著
・「育てて楽しむエゴマ 栽培・利用加工」 服部圭子 著 日本エゴマ普及協会 編
・エゴマ~つくり方・生かし方~ 日本エゴマの会 編
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えごま油とごま油の違い
えごま油は、えごまの種からとった油です。
えごまの種子は、油分を40~45%程度含有しており、搾ると油がとれます。
ごま油が香ばしい香りの商品が多いのに対し、えごま油はほぼ無味無臭のものや、ほんのりさわやかな草の香りがするものがあります。
えごま油は、独特のえぐみがあるので、商品によっては精製工程で取り除くこともあります。
えごま油は、「しそ油」という商品名でも販売されています。
ごま油は、無色のものから茶色のものまで様々な種類があります。
ごま油の色や香り・風味は、ごまの種類の違いではなく、ごまを焙煎する温度で違ってきます。浅く焙煎すればやわらかい香りと淡い色合いに、深く焙煎すれば力強い香りと濃い色合いに仕上がります。
(参考資料)
・「日本語大辞典」講談社 梅棹忠夫・金田一春彦・阪倉篤義・日野原重明 監修
・「シリーズ《食品の科学》ゴマの科学」並木満夫、小林貞作 編
・ ごま油の香りの違い
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えごま油とごま油の栄養素の違い
植物からとれる油には様々な種類がありますが、どれも1g=9kcalです。
カロリーは同じですが、それぞれが異なる「脂肪酸組成」からなっています。
えごま油の主成分は「α-リノレン酸」と呼ばれる成分です。
えごま油にはα-リノレン酸が60%も含まれています。
α-リノレン酸は、人間が体内で生成出来ない為、食事から摂取しなくてはならない成分である「必須脂肪酸」の一種です。
ごま油の主成分は「リノール酸」と「オレイン酸」です。
この2種類がバランスよく入っており、合計80%以上を占めます。
リノール酸は、α-リノレン酸と同じく「必須脂肪酸」に分類されます。
またオレイン酸は、オリーブオイルにも多く含まれる「不飽和脂肪酸」の一種です。
ごまにはセサミンで有名な「ゴマリグナン」が含まれています。
ゴマリグナンはごまの特徴的な微量成分であり、セサミンやセサモリン、セサモール、セサミノールなどの種類があります。
ゴマリグナンは、抗酸化物質として知られており、ごま油の酸化安定性に寄与しています。
(参考資料)
・「ゴマ その科学と機能性」日本ゴマ科学会 並木満夫 編
・「育てて楽しむエゴマ 栽培・利用加工」 服部圭子 著 日本エゴマ普及協会 編
・「日本語大辞典」講談社 梅棹忠夫・金田一春彦・阪倉篤義・日野原重明 監修
・「シリーズ《食品の科学》ゴマの科学」並木満夫、小林貞作 編
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えごま油、ごま油の活用方法
えごま油
えごま油は熱に弱いため、加熱するとすぐに酸化してしまいます。
酸化した油を摂取すると胸やけや胃もたれを起こすことがありますので、注意が必要です。
炒め物や揚げ物などの加熱調理を避けた調理方法がおススメです。
醤油と酢、塩などの調味料と混ぜて簡単にドレッシングも作れます。
お味噌汁やスープ、おひたしにかけるとコクがアップします。
(参考資料)
・「育てて楽しむエゴマ 栽培・利用加工」 服部圭子 著 日本エゴマ普及協会 編
・元気が出るえごま料理 田中敦子著
ごま油
ごま油は、抗酸化作用のあるゴマリグナンが含まれており、酸化安定性に優れた油です。植物油の中でも加熱に強い油の為、天ぷらや炒め物にも適しています。香りのしない太白ごま油はサラダ油感覚でご使用頂けますし、香りの強いごま油は中華料理や韓国料理に向いています。
きんぴらなどの和食には、中間の香りのまろやかなごま油がおススメです。
色の濃いごま油の方が香りが強い為、香りの強さは色の濃さを参考にしてみてください。
(参考資料)
・(九鬼レシピHP) おいしい ごまレシピ | 九鬼産業 (kuki-info.co.jp)
・ ごま油の香りの違い
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まとめ
今回は、ごまとえごまの違いについて、ピックアップしてみました。
「ごま」と「えごま」は、別物だったんですね。
知ってました?
えごまには、α-リノレン酸が60%も含まれるという話はしましたが、
このα-リノレン酸のポテンシャルがすごいんですよね。
α-リノレン酸は必須脂肪酸であり、体にとって必要不可欠の脂質です。
n-3系の脂肪酸が持つ重要な働きは、細胞膜の構成成分になるということです。
ただし、酸化しやすい為、揚げ物や炒め物には適していません。
毎日の食事に、スプーン1杯そのまま飲んだり、サラダにかけたりして、とり入れるのが良いと思います。
さぁ、みなさんも今日から、レッツ、ごま&えごまライフ!
「ごまのこと」編集部