ごまのはじまり

空白

ごまのはじまり(ごまの起源)

ごまは日本固有の食材と思われるかもしれませんが、ごまの原産地は一般的には紀元前3000年以前のアフリカ・ナイル川流域にて栽培が始まったとされています。
(※諸説あり)

空白

 ごまの歴史 

ごまは物々交換などにより、エジプト、メソポタミア、インダス、黄河などさまざまな文明、地域へ広く伝播したと考えられています。

エジプト

古代エジプトでは、ごま油は、灯り用の燃料や香料、ミイラ作りなどに利用されていたといわれており、ミイラ作りでは ごま油とヘナという薬草を塗ってミイラを保存したといわれています。また、パピルス医学書(B.C.1500年頃)にはごまが薬用として利用されていた記録があります。

メソポタミア

世界最古の文明であるメソポタミアでは、天地創造の神話で神が人間の世界を作るときにゴマ酒を飲んだと伝えられています。
また、菓子や軟膏、儀式用燈明、貸借品などさまざまな場面でごまが利用されていました。
中には銀貨とごまの交換レートが粘土板に記載されていたという記録も残っているそうです。

インド

古代インダス文明の代表される遺跡(モヘンジョダロ遺跡、ハラッパ遺跡)でもごまが多数出土しており、今でも古くからの利用法は引き継がれています。その代表的な利用方法が、人類最古の医学といわれるアーユルヴェーダ伝統医学治療法であり、その古典書「チャラカ・サンヒター」にはごま油に関する記述が示されています。

中国

紀元前3,000年頃の浙江良渚遺跡からごまが出土しています。
黄河流域は典型的な乾燥地域で、降水量が少ないため、その土壌に適応できる作物として稲、豆、落花生と一緒にゴマも栽培されていたようです。



▲クリックして画像を見る​

空白

日本に伝わったのは?

縄文後期(B.C.1200年頃)の真福寺遺跡(埼玉県)からソバ、ウリ、小豆などと一緒にごまが出土しており、日本でのごまの歴史はかなり古いことがうかがえます。
ごまは中国から日本に伝わったといわれており、その中国では西域からごまが伝わったとされています。中国で西方を意味する「胡」、種子が麻の実に似ていることから「麻」という漢字があてられ、「胡麻」と名付けられたとされています。


 日本でのごまの歴史

ごまは特有の香りと優れた栄養価、また貯蔵性の高さから大変重宝されていたと考えられています。

日本では、縄文時代末期の遺跡からごまの種子が発見されており、奈良時代になるとごま油が調味料として利用されていたようです。
鎌倉時代にすり鉢が中国から伝わり、室町時代に普及したことから ごま料理の幅が広がりました。室町時代に書かれたとされる『大草家料理書』には鯛南蛮焼のつくり方にごま油の記述が残されています。
また、江戸時代には現代でも親しまれている南部胡麻煎餅やごま和え、ごま豆腐、などが誕生しました。

しかし、料理の中での主食材ではないため文献などの記載が非常に少なく、歴史的にどのように使われていたのかは、不明な点が多く昔から伝わる伝統料理などから推測するしかありません。



▲クリックして画像を見る​

空白

ごまのカレンダー

 ごまが育つまで

日本の食卓に欠かすことのできないごま。
今回はそのごまがどのように育つのかをご紹介します。


▲クリックして画像を見る​

STEP① 土づくり

ゴマの種は小さいため大きな土の塊などがあると芽が出てこなかったり、また雑草が多いと土の養分や水分を奪ったり、せっかく生えてきたゴマの芽に日があたらなくなってしまいます。

まずは土づくりをしっかりと行い、ゴマが成長しやすい環境づくりから行います。


STEP② 種まき

5月中旬から6月下旬にかけて種まきを行います。
種まきが早すぎると出芽が遅れ、遅すぎても生育量が少ないため、種をまく時期は慎重に決めます。


STEP③ 発芽

早くて2~3日で発芽します。発芽して20日ほどで2~3株になるように間引きます。


STEP④ 追肥

種をまいて30~40日を目安に生育状態に応じて追肥を行うかを判断します。


STEP⑤ 開花

種をまいてから40~50日で花が咲きはじめ、ゴマのサヤができてきます。


STEP⑥ 収穫

種まきから90日くらいすると一番下のサヤが開き始めます。開き始めたら収穫の合図!上のサヤが未熟でも早めに刈り取らなければ、次々とサヤが開いてしまい、せっかく実ったゴマが落ちてしまいます。


STEP⑦ 乾燥

根本から刈り取ったゴマの幹は束ねてハウス内など良く乾く場所での立て掛け、又は吊り下げで乾燥させます。10日ほどすると上のサヤも開いてきます。


STEP⑧ 調整

十分乾燥したら、ビニールシートの上でゴマの幹をたたき、開いたサヤの中のゴマを落とします。
こぼれ落ちたゴマの種を集め、大きなごみをふるいで除き、唐箕(とうみ)といわれる風力を利用した機械で軽い砂やチリなどを除く作業を行います。


※ごまの品種 真瀬金を本州にて播種栽培した場合

空白

― 参考文献

・「ゴマ その科学と機能性」日本ゴマ科学会 並木満夫 編
・「食物と健康の科学シリーズ ゴマの機能と科学」並木満夫、福田靖子、田代亨 編
・「シリーズ《食品の科学》ゴマの科学」並木満夫、小林貞作 編
・「ゴマの絵本」ふくだやすこ・かつたますみ 編/たざわちぐさ 絵
・日本植物油脂協会「ごま油のお話し」 https://www.oil.or.jp/
・『遼海文物学刊』1989-1
・チャカラ本集 総論篇 インド伝承医学
・「てんぷらの本」平野正章、小林菊衛 著