06 生産拠点の拡充

一大プロジェクトとなった
竹成工場の新設

 竹成工場プロジェクト始動

 1990 年(平成 2)にバブル経済が崩壊し、失われた 10 年といわれる不況に突⼊します。一方、食品業界では90年代に有機栽培野菜が注⽬され、1995 年には⾷品衛⽣法の改定で植物油にも消費期限・賞味期限表⽰が義務化されるなど、食への関心が高まります。
 食への注目度が高まる中、九⻤産業㈱では新たなプロジェクトが始動します。それが「⽵成⼯場プロジェクト」です。さらなる売上増には⼯場規模を拡⼤し、生産量を増加させることが必須です。新⼯場建設に向けて三重県菰野町に⽤地を確保し、基本構想には食品工場の新設および⾼付加価値商品の研究開発が盛り込ます。第⼀期計画は、新たな⼯場棟の建設と「むきごま」「ねりごま」の製造設備の導入とし、プロジェクトチームは動き始めます。1989 年 12 ⽉、前処理棟とむきごま⼯場(脱⽪⼯程室、ねりごま室、操作室の 3 区分)が完成し、翌年 1 ⽉末から試運転を開始します。しかしながら、脱⽪機の分離能が悪い、空気搬送が詰まり度々設備がストップするなどトラブルが頻出します。改善を重ね、同年6⽉にようやく本稼働に至ります。その後も様々な問題解決に追われ、落ち着いたのは本稼働からさらに半年後のことでした。


竹成工場完成予想図


空白

 第二期計画

 第二期計画では工場棟(約 670㎡)の増築、倉庫棟(約 300㎡)と管理棟(約180㎡)の新築、むきごま貯蔵設備(定温貯蔵能力 約 50 t)とねりごま製造設備(月産約 50 t)を整備した。1991 年11 月、竹成工場第二期工事が完了。ねりごまの一貫製造工場は、問題が多発し早々に大きな壁に直面した。その状況下でも 1992 年春には人員 9 名で九鬼「純白いりごま」、「ねりごま」を各 30 t程度月産した。同年 12 月、竹成工場に鉄骨二階建て延べ床面積 324㎡の開発棟が完成、1 階に試作室と分析室、2 階に調理室と細菌検査室が設置された。
 1993 年 3 月、ついに竹成工場でねりごま全製品の製造開始、同年 7 月には出荷業務も開始された。1995 年、第三期工事が完了、建物面積約 2,500㎡、ねりごま生産能力月産 150 tの工場に成長した。


竹成工場内観Ⅰ


竹成工場内観Ⅱ


ねりごま充填の稼働風景

Column

竹成工場の新設備

竹成工場開発棟内観

 試作室ではごまの焙煎や加工など、大型のテスト機を導入し新商品の開発や既存製品の改良、生産ラインへ引き渡すまでの技術開発など生産ラインに近いテストが可能になった。分析室では基礎分析・研究を中心にデータを蓄積し、製品開発や生産技術向上のためのバックアップを実施。また、調理室では充実した厨房設備により幅広い試作や調理に対応でき、ごま製品の用途開発や新製品開発が活発化した。さらに、細菌検査室により、本社品質管理室の出先機関として商品の品質維持が可能となったのである。