05 商品の多様化
健康ブームと主力商品
「九鬼ヤマシチ純正胡麻油」の誕生
家庭用商品の販路拡大が課題、新商品開発へ
第⼀次⽯油ショック後の⽇本は低成⻑のなか、⽯油・エネルギー多消費型の重⼯業に代わって知的集約型産業に移⾏します。1980年代中頃にはバイオテクノロジーを応⽤して栽培した野菜も登場。また、⾖乳ブームやサプリメントの普及、健康⾷品コーナーが⼈気を博すなど、世の中に健康ブームが到来します。
時代の変化とともに九⻤産業㈱でも新しい変化が求められます。これまでは業務⽤商品が主流でしたが、新しい市場開拓に家庭⽤商品の販路拡⼤に取り組みます。1976年(昭和51)に「90年⽬の決⼼です!」と銘打ち、家庭用ごま油「純正ごま油」と家庭⽤ねりごま「ねりっ⼦」の販売を始めます。特にねりっ⼦の拡販には、当時プロテニスプレイヤーとして活躍していた九⻤潤⽒を起⽤し、ねりごまの使い⽅を記載した⼩冊⼦を添付するなど、⼤々的に販売促進を進めます。さらに、折からの健康ブームを好機と捉え、ねりごまにごま油を加えてゼラチンで包んだ「セザマインド」も発売。昨今ではごまに含まれるセサミンに着⽬する商品が多いですが、当時はビタミンやミネラルなどごまの⾼栄養価を押し出した主流であり、その中で生まれた商品です。次いで1980年代半ばには「セサミ3」を発売。ねりごま、アカシアはちみつ、フラクトオリゴ糖の3つの健康⾷が⼀度に摂れ、かつ家庭で食べやすいようにと開発します。「ごまを⾷べて健康に!」という思いは、現在の商品開発にも脈々と受け継がれています。
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看板商品「九鬼 ヤマシチ純正胡麻油」の誕生
1980年代半ばには、まろやかな味と軽い⾹りが特徴の「九⻤ヤマシチ純正胡⿇油」が登場します。九⻤家の屋号であるヤマシチを背負い、看板商品になるべく⽣まれた商品です。30年以上経過した現在でも、九⻤産業㈱の看板商品として燦然と輝いています。
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Column
本社移転と充実した設備投資
1980年代は多くの出来事・変化が起きた時代でした。1980年(昭和55)初頭には資本金を6,000万円に増額し、1983年には搾油機を更新、翌年には開発研究センターと粕⼯場を新設します。創⽴100周年を迎えた1986年には本社事務所を本社⼯場から独⽴させ、三重県四日市市中納屋町に移転。さらに、⾷品⼯場のロータリーキルン改設⼯事や充填⼯場の増改築、原料搬送ラインの新設など、九⻤産業㈱は順調に設備投資を⾏い、増産体制へと移⾏します。そして迎えた1988年、⼀⼤プロジェクトが開始されるのです。
粕工場設備
食品工場
ロータリーキルンの搬入Ⅰ
食品工場
ロータリーキルンの搬入Ⅱ
原料搬送ライン新設風景
(内装)
小缶充填ライン移設後の稼働状況
新設斗缶ラインの稼働状況