ごまとフェアトレード
日本ではごま和えやごま豆腐、ドレッシングやタレなど、多くの料理にごまが使用されています。しかし、日本で消費されている”ごま”の99.9%は外国産のごまを使用しているのが現状です。ごまは暑く乾燥した地域でよく育ち原産国は、アジア、中南米、アフリカなどで栽培されています。
その想いから品質も高く、かつ安全・安心の「フェアトレード認証ごま」の商品化へたどり着きました。
フェアトレードとは、途上国の人々による生産物を適正な価格で取引を行い、生産者の収入向上を目的とした貿易取引の新しい仕組みです。また品物の代金とは別に、プレミアムという生産者の地域社会の開発等に使われるべき代金も支払われます。お買い物する際にフェアトレード商品を「選択」できるようフェアトレード認証ラベルが表示されています。
九鬼産業は、ニカラグア共和国のフェアトレード認証を取得したDelCampo農協(デルカンポ農協)よりフェアトレード認証白ごまを購入し、素材の味を活かした香り高いいりごまに仕上げました。生産者紹介では、DelCampo農協の紹介とともに、どのようにごまが栽培・管理されているのかご紹介いたします。
生産者の方々には、フェアトレードの基準に準じて品質の良いごまを栽培し届けてもらいます。
当社はフェアトレードを通し、生産者の生活環境等の向上を継続して支援していきます。
お客様が納得してご購入いただけるよう九鬼産業は、お客様へ生産者の情報をご紹介していきます。
国際フェアトレード認証ラベルは、その原料が原産国で生産されてから、輸出入、加工、製造工程を経て、「フェアトレード認証製品」として完成品となるまでの全過程で、国際フェアトレードラベル機構FLO(FairtradeLabellingOrganizationsInternational)の国際フェアトレード基準が守られていることを証明しています。
ニカラグア共和国
中米に位置するニカラグア共和国は1989年まで内戦が続き1990年以降に発展をしました。
1990年に発足したビオレッタ・チャモロ大統領政権以降、内戦で破壊された経済の再建をはかり、NGO/NPOの協力の元、農業分野において大きな成長を遂げています。
しかし、1980年代内戦時の傷は拭いきれず、現在も重債務貧困国(HIPC)に認定されており、ニカラグアは中南米における発展途上国の一つです。
ごまの栽培と管理
DelCampo農協は、10組合の全ごま農家に「ごまの栽培マニュアル」と「ごまの栽培記録報告書」を2008年に配布し、生産性の向上やトレーサビリティーの徹底を行っています。
ごまの栽培方法、使用可能・不可能な農薬の種類、害虫対策、トレーサビリティーの徹底手順、土質・水質検査の重要性等が記載されています。
マニュアルにのっとり栽培されたごまの栽培記録を記入するノート。この1冊を漏れなく記入することでトレーサビリティーが可能になります。
マニュアル・栽培記録報告書以外で、トレースがしっかりと追えるよう対策がとられています。
(左)収穫したごまを集めたときに、日付と生産者名をサイン。
(右)輸出のときは全ての袋にロット番号を書いたラベルがつく。
プレミアムの使途
プレミアムとは原料の対価とは別に、生産者へ支払われ地域の社会開発のために使われるべき資金となります。産品によりプレミアムは異なり、その使途は生産者により決定されます。
DelCampo農協ではプレミアムを生産に関係する設備以外にも、セミナーなど生産者の教育費用の一部にあてられています。
例えばごま農家にて飲み水を貯めるタンクとその配管等の備品を購入する資金にプレミアムを使用しました。写真はタンクとそのごま農家のご家族。
DelCampo農協の事務所を訪問、迎えてくれたのはマネージャーのニコラス氏と事務所の方々。ニカラグアで起こった革命の時にイギリスから単身ニカラグアに渡り、ニカラグアのごま栽培を活性化するために尽力している。トレーサビリティーの確立や有機栽培の推進、世界で初のフェアトレード認証ごまの栽培を行った。
ごま農家を訪問。ニカラグアはElMomotomboという火山が有名で富士山を連想させた。パッケージにも使用したごまと火山の写真でもわかるように、とても印象的な山だ。火山灰を含む土は水はけが良く柔らかい。栄養が豊富なのがわかる。笑顔であいさつを交わし、収穫され乾燥中のごまを見せてくれた。ニカラグアのごまは、訪問した12月が一番多くの地域で収穫される。とてもよく育ったごまで身の丈以上ある。当社社員がごまと背比べ。ごまがつまった“朔果(さくか)”もぎっしり。
ニカラグアの町並みと人々。とても陽気な国民性で、カメラを向けると皆笑顔で手を振ってくれた。 街中では馬車や人力タクシーが走っている。
最後に皆で記念撮影。この場所はニカラグアのオルテガ大統領が訪問された際に記念撮影した場所。この写真も大統領にお見せしてくださるとのこと。国で農業のバックアップが行われているのだと感じる。
今回初めての訪問を通して、ニカラグアのフェアトレード認証ごまについて互いに情報交換を行い、当社のこともDelCampo農協の方々に理解をしていただいた。訪問の様子はビデオ撮影しており、それを約1000の農家に見せフィードバックを行うという。
DelCampo農協と九鬼産業の間だけではなく、農家を含め全体で情報共有を行う“透明性”が強く感じられた。
フェアトレードの精神は、農家もメーカーもどちらかが立場が強い、あるいは弱いというものでは成り立たず、「皆で良い商品」を消費者に提供し、利益を同じように分配して、少しずつ共に発展しながら皆で幸せになろう!という考え方で、マネージャーのニコラス氏もフェアトレードを行う企業として、同じような考えのもと商品づくりをして欲しいとおっしゃっていた。そのために「私たちを信頼し、フェアトレードが日本でさらに受け入れられるように」と消費者へ情報を公開できるよう全ての場所を撮影させていただいた。
日本でのフェアトレードはまだ課題が多い。九鬼産業もフェアトレードを行う企業として、またニカラグアで丹精込めて育てられたごまを託されたものとして、「顔の見える」商品に出来るよう努めていかなければいけない。
ごま農家と消費者をつなぐ架け橋として尽力していきたいと思います。