トップページ > ごまの四方山話


和食はもちろん中華や西洋料理、さらにクッキーなどのお菓子類、はたまたハンバーガーにまで使われている「ごま」。この万能選手“ごま”の原産地は、いったいどこなのでしょう。
その答えは、熱帯アフリカのサバンナ地帯。ごまは学名を(Sesamum indicum L.)と付けられていますが、それは古くからインドで栽培されていたので「原産地=インド」と考えられていたから。でも現在では、ごまの野性種が多いアフリカのサバンナ地帯が、原産地であるとされています。
ところで、栽培の歴史を見てみると…。ナイル川流域では、紀元前3000年以上も前から栽培されていたようで、食用油や灯油、また精のつく食品として利用していたことがエジプトの記録に残されています。やがて、ごまは古代エジプトからヨーロッパやアジアに伝わっていったと考えられているんですね。
ちなみに、日本で「ごま」と呼ばれるようになったのも歴史と関係があります。ごまは漢字で「胡麻」と書きますね。ごまは中国から日本に伝わったといわれています。その中国では、西域から胡麻が伝わったとされています。その為、中国で西方を意味する「胡」、種子が麻の実に似ていることから「麻」という漢字が使われ「胡麻」と名付けられたとされています。
ちょっと余談ですが、胡桃(くるみ)や胡椒(こしょう)も西からの舶来品。中国から伝わった食べ物と言われていますよ。


子どものときに誰もが一度は読んだことのあるお話「アリババと40人の盗賊」。このお話のなかに出てくる呪文「開け!ごま」というのは、あまりにも有名な言葉ですね。この呪文のおかげで、アリババは固く閉ざされていた洞窟の扉を開けることができ、見事お宝を手に入れるのです。
さて、この呪文がなぜ「開け!ごま」なのかご存じですか。それは、熟したごまの種子がポン!と、さく果(さやのようなもの)からはじけて飛ぶ様子に似ているからと言われています。ごまの種子が飛び出る時の勢いのよさから「大事なものよ、早くポン!と出ておいで」という願いがこめられて呪文となったのかもしれませんね。
さて、ここでごまの種子が収穫できるまでを簡単にご説明しましょう…。ごまはゴマ科ゴマ属の一年草で、種を蒔いてから約90〜100日で収穫できます。まず、茎の下の方から順番に花が咲き、さく果(種子が入っているもの)ができます。そして熟期が来ると下から順に、さく果が裂けて種子が飛び出すのです。
でも、この収穫が問題。熟期の期間は、下から始まって上に至るまで幅があるため、その収穫には手間がかかります。機械を駆使する大規模栽培も難しく、また収穫量も1ヘクタールあたり300〜500kgと効率が良くないため、現在、日本ではほとんど作られていないのは残念なことですね。
ところで、九鬼産業では国内で試験的に有機胡麻の栽培を行っています。さまざまなデータを集めて、品種改良の研究開発などに役立てているところなんですよ。


江戸時代の文化・文政年間にあったお菓子で「胡麻胴乱」というのがあります。このお菓子は、小麦粉にごまをまぜてこね、焼いて膨らましたもの。ごまのよい香りはするのだけど、中味はからっぽで餡がない。そこから、見かけはいいけど中身のないもののことを胡麻菓子(ごまかし)というようになったとか。今でもよく、人の目を紛らすことの意味として使いますよね。ちなみに、「誤魔化し」というのは当て字だそうです。
ところが、この「ごまかし」や「ごまかす」の語源には、他にも説があるんですよ。たとえば…、ごまは昔から日本食に良く合って、風味をよくするための食品として使われてきました。つまり、ごまを加えることによって味をよくする…、「ごま味化する」が転じて「ごまかす」になったという説があります。また、密教では“護摩を焚く”と言いますが、その護摩の灰が由来だという説もあるんですよ。
さて、もう一つは「ごますり」。「自分がトクをするために、相手にへつらうこと」を意味していますね。この語源がごまに関係していることは、簡単に想像がつくことです。
すり鉢でごまをすると油がにじみ出てきますね。そして、鉢のあちこちにベタついてきます。このベタつく様子から転じて、人にへつらうことを意味するようになったという説が有力のようです。ほかにも、寺の修行のうちの一つ、ごまをする作業が由来という説もありますよ。それは子坊主が一生懸命ごまをすると和尚さまの機嫌がいい、ということから…、だそうです。
いずれにしても、「ごまかし」も「ごますり」も、あまりいい意味に使われないのは残念!ですが、それだけごまが人々の生活に深く関わっていたということなんですね。


大昔から「不老長寿の秘薬」と言われたほど、ごまは栄養価の高いすぐれた食品として知られていました。現代では、さまざまな研究によってごまのパワーの秘密が次々と解明されていますが、今最も注目したいキーワードは何といっても「ゴマリグナン」。これはごまにしか含まれていないとされる抗酸化物質で、老化を防ぎ、ガン抑制にも効果があるとされているんですよ。このゴマリグナン(リグナン類ともいいます)には、セサミン・エピセサミン・セサモリン・セサミノール・セサモールなどがあります。
下の表をちょっと見てください。これは「九鬼太白胡麻油」と「焙煎胡麻油」を比較したものです。同じごま油でも、その製造工程で原料であるごまを焙煎して風味を出す「焙煎胡麻油」と、焙煎しないで低温圧搾方法による「九鬼太白胡麻油」があります。
この表を見ると、焙煎油と比較して、九鬼太白油のセサミン量が少なくなっていますね。これは、精製過程でセサミンが反応してエピセサミンを生成するからです。また、九鬼太白油のもう一つの特徴には、セサミノールが大量に含まれていることがあげられます。これは、ごまの種子に含まれるセサモリンが、精製過程でセサミノールに変化するためなのです。
最近の研究で、セサミノールは強い抗酸化性を示す物質であることがわかってきました。ゴマリグナンのなかでも、とくにコレステロールの酸化を抑え、動脈硬化の防止などに役立つという面から注目されているんですよ。
ごまの驚くべきパワーは、まだまだこれからも解明されていくことでしょう。楽しみですね。

| セサミン | エピセサミン | セサモリン | セサミノール | セサモール | |
|---|---|---|---|---|---|
| 九鬼太白油 | 258 | 193 | 0 | 63 | 1.7 |
| 焙煎胡麻油 | 805 | 0 | 271 | 0 | 5 |
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